真面目な人は要注意!介護うつになりやすい人の特徴・原因・対処法を教えます

以前、テレビにも比較的よく出演していた有名な女性タレントが、実母の介護疲れを理由に、実父の墓の前で実母と心中を図るというショッキングな事件が起きました。長年の介護疲れで、いわゆる「介護うつ」を発症していたのではないかと事件後には報道されています。

もちろん、このニュースは本人が芸能人だったから大きく取り上げられただけで、一般の人にも目を向けてみれば、家族の介護をきっかけにうつ病になる=介護うつの状態に陥っている人は一定数いるはずです。実際、筆者の周囲でもご家族の在宅介護がきっかけで、別のご家族がうつ病を発症してしまったという話は聞きました。

今回は、介護うつになりやすい人の特徴・原因・対処法について考えてみましょう。

介護うつとは

介護をしている人がうつ病になること

介護うつとは文字通り

介護をしている人がうつ病を発症してしまうこと

です。詳しくは後述しますが、介護はとにかく体力と精神力が必要とされるため、うつ病の原因にもなってしまうのです。

介護うつの症状

介護うつといっても、症状は他のうつ病と変わりません。代表的な症状を6つ紹介しましょう。

食欲がなくなる

代表的な症状の1つとして、食欲がなくなることが挙げられます。「食べたくない」「普段通りの量が食べられない」「食べても吐いてしまう」などの症状が現れたら要注意です。ただし、人によっては逆に過食気味になる(「普段なら考えられない量を一気に食べてしまう」など)こともあります。

夜眠れなくなる

先ほどの「食欲がなくなる」と同じくらい、有名なうつ病の症状の1つとして現れるのが「夜眠れなくなる」です。一口に「夜眠れなくなる」といっても

  • 寝つくまでに時間がかかる
  • 寝つきは良いが、途中で何度も目が覚める

など、人によってパターンは異なります。

疲れやすくなる

食べられない、眠れないこととも関連してか、体が疲れやすくなります。慢性的なだるさや肩こりに悩まされる人も多いです。

ささいなことでイライラする

「何かわからないけどイライラする」など、原因不明のイライラ(焦燥感)が現れます。人によっては、ちょっとした物音や他人の些細なミスが許せなくなり、激高することすらあるので注意が必要です。

ぼーっとする

体の疲れは、頭の疲れも引き起こします。つまり、倦怠感がひどく、何をするにもおっくうでぼーっとしてしまいがちです。さらに症状が進むと、無表情になってしまうことすらあります。

ネガティブなことばかり考える

うつ病の症状の1つに「微小妄想」という症状があります。簡単にいうと「ネガティブなことばかり考える」ということです。

「どんなネガティブなことを考えるのか」という意味で、次の3つに分類できます。

  • 心気妄想:健康状態に何の問題もないのに「もしかしたらがんとか?」など、命に影響が出るほどの重い病気にかかっていると思い込む
  • 罪業妄想:「あの時の自分の行動はおかしかったのでは?」と、自分が過去に行ったことを必要以上に責めて追い詰める。ひどくなると自分の存在を否定してしまう・幻覚を見てしまうなどの症状を招くこともある
  • 貧困妄想:実際は経済的に困窮するほどではないにも関わらず「お金が無くなってしまうのでは」など、過度の心配をする

これらの微小妄想に対して、適切な治療やカウンセリングを行わず放置すると、自傷行為や自殺企図の原因にもなるので注意しましょう。

簡単に言うと

万が一のことが起きてしまうかもしれない

ということです。

介護うつの原因・なりやすい人の特徴

介護うつの原因

既に触れてきた通り、介護うつも含め、うつ病は適切な治療やカウンセリングを受けさせず、放置しておくと、最悪の場合は死に至る病気です。それでは、なぜ介護うつになってしまう人がいるのでしょうか?

考えられる原因として

  • 長期戦でメンタルがやられる
  • 職場での居場所がなくなる
  • 肉体労働で体力が奪われる

の3点に触れましょう。

長期戦でメンタルがやられる

公益財団法人生命保険文化センターが行った調査によれば、介護期間の平均は4年7カ月とのことでした。

出典:介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?|公益財団法人 生命保険文化センター

この平均値を見る限りでも、なかなかの長期戦であることがわかるはずです。介護期間が10年以上に及ぶ人も全体の14.5%に上りました。

家族の介護をするということは「家族の心配をし続ける」ということにも等しいため、精神的な負担もかなりのものになります。

長期間、精神的な負担にさらされ続けることが、介護をする側の人の精神に及ぼす影響は甚大です。

職場での居場所がなくなる

厚生労働省は、事業所(会社)に対し、介護が必要な家族がいる場合は、介護休暇を活用するよう積極的な呼びかけを行っています。

出典:介護休暇について|介護休業制度|厚生労働省

しかし、介護休暇を取ったことを理由として、職場で不当な扱いを受ける可能性はゼロではありません。例えば

  • 解雇、減給、降格をほのめかされる
  • 契約社員だった場合に「契約を更新しない」と言われる
  • 「君は来月から〇〇支社に転勤ね」など、不利益な配置転換を言い渡される

などが考えられます。

もちろん、これらは立派な嫌がらせ(ケアハラスメント = ケアハラ)であるため、各地の労働相談センターにも相談し、改善されないようであれば、弁護士などの専門家に相談の上、対応を仰ぎましょう。

参照:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

肉体労働で体力が奪われる

介護の仕事をしたり、家族を在宅で介護したりした経験があるならわかるかもしれませんが

  • 家族をお風呂に入れる
  • 床ずれが起きないように寝る位置を変える

などの作業(介助)は、肉体労働としての側面も多く含まれています。

普段から鍛えていて、重いものを持ち運ぶことに慣れている人ならともかく、そうでない人にとってはかなりの肉体的な負担になるはずです。

適度に休みながら取り組むようにしないと、どんどん体力が奪われてしまいます。

介護うつになりやすい人の特徴

また、介護うつになりやすい人には、性格にも特徴があるといわれています。

大まかな傾向に過ぎませんが

  • 「自分がやらないと」と思いがち
  • 手抜きができない

という2つの特徴についても触れておきましょう。

「自分がやらないと」と思いがち

「自分の家族なのだから、自分が責任を持って面倒を見ないといけない」と思ってしまいがちな人は要注意です。自分のことを後回しにしてでも、家族の介護を優先して行動しようとするので、その分ストレスを溜め込んでしまいがちになります。

手抜きができない

より詳しく言うと「真面目で完璧主義で、すべてをきっちりこなそうとする」と言ったところでしょう。このような人にありがちな傾向として、様々な行動に関し「こうでなくてはいけない」という理想を抱きがちな点が挙げられます。

介護においては、「介護される側」と「介護する側」がいる以上、すべてが自分(介護する側)の理想通りに行くとは限りません。

「なんでこうなるの?」と、自分の理想が実現できない状態にやきもきし、ストレスがたまった結果うつ病になる、というのは決して珍しくないのです。

介護うつへの対処法

自分でできること

介護うつにならないためには、対処法を知り、普段から実践しましょう。まず、自分でできることとして、以下の5つを紹介します。

ストレスを自覚する習慣をつける

介護をしていると、自分の思い通りにいかない場面に度々遭遇します。

特に、認知症など「発病前のその人の性格からすると、信じられないほど乱暴な対応をするようになる」こともある病気にかかっている家族を介護する場合、本気でケンカすることだってあるはずです。

当然、ストレスもたまっていきます。ストレスがたまると

  • 良いことがあっても気持ちが晴れない
  • 物事に興味や関心が湧かない
  • 体がだるくて動くのが億劫

という症状になって現れることがありますが、そういう場合は「ちょっと疲れているだけだから動こう」と考えるのではなく、「ちゃんと休もう」と考えるようにしましょう。

家族・親族、友人・知人に相談する

家族の介護も含め、悩み事を抱えている人が最もやってはいけないのが「一人で抱えこむ」ことです。人に悩みを話してみるだけで、自分の頭の中が整理され、ストレスの軽減につながることは往々にしてあります。

ただし、この方法を使う場合「誰に話すか」が案外重要です。

  • 親身になって聞いてくれるか
  • いわゆる「上から目線でのアドバイス」をしてこないか
  • 「世の中もっと大変な人がいるんだから我慢しなさい」など、自身に我慢を強いてくるよう言ってこないか

などを考えた上で、相手を選んで実行しましょう。

行政、公的機関を頼る

また、自身や家族の現状で利用できる公的な制度がないかどうか確認するのも必要です。自宅を管轄する市区町村役場や地域包括支援センターなどに相談しましょう。

かかりつけの医療機関に在籍するソーシャルワーカーに相談したり、社会福祉法人・NPO法人・ボランティア団体に連絡を取ったりして、状況を話してみるのも1つの手段です。

趣味などでストレスを発散する

介護うつになりがちな人の特徴として「家族の介護を最優先にして、自分のことは後回し」であることが挙げられます。

延命措置を行うか否かの判断など「今すぐに判断・対応しないとまずいこと」がある場合はともかく、そこまで急を要する状態でないなら、趣味などでストレスを発散することも「介護を続けていく上で大事な取り組み」と考え、実践しましょう。

いわば介護うつは「自分がつぶれてしまった状態」です。「家族のために!」と真面目に頑張りたい気持ちはわかりますが、自分がつぶれてしまってはどうしようもないことは、肝に銘じておきましょう。

外部サービスも上手に使う

家族が介護を受ける場合、介護保険によるサービスが利用できますが、法律(介護保険法)による厳格な利用基準があるため、気軽に何かを頼む、ということができないのも事実です。

しかし、実際に介護をしている場合は「介護保険のサービスでは頼めないかもしれないけど、お願いしたいこと」が多々発生するでしょう。

そういう時は

  • 市区町村など地方公共団体が実施する非営利目的の支援サービス
  • 民間企業が営利目的で行うサービス

なども上手に使いましょう。

例えば、以下のような「自分でやろうとすると大変な上に、介護保険のサービスでは頼めないけど、必要なこと」も、介護保険対象外のサービスであれば、遠慮なく頼めます。

  • 散歩や趣味のための外出介助
  • 金銭の管理や契約書の記入などの手伝い
  • 同居する家族の援助となる洗濯、調理、買い物、布団干し、掃除などの家事援助
  • 正月・節句などのために特別な手間をかけて行う調理
  • 大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスかけ、家屋の修理、家具の移動や修繕
  • 草むしりや花木の水やり、犬の散歩などペットの世話
  • 車の洗車や清掃
  • 来客にお茶を出す、食事の手配をする

周囲ができること

また、自分は介護をしている立場でないものの、家族や友人・知人に「介護をする側の人」がいる場合に、その人が介護うつになるのを防ぐためにできることはちゃんとあります。

話を聞いてあげる

まずは、親身になって話を聞いてあげることです。電話で会話をするのが難しければ、LINEなど、SNSでのやり取りでも構いません。また、その時は

「そんなのどうでもいいじゃん」「世の中もっと大変な人がいるんだから我慢しなさい」など、相手を否定するようなことは言わない

ことを心がけてください。

「できることはないか」と申し出る

また、自分に余力があるときは「できることあったら言ってよ」と声かけをし、協力を申し出るのも1つの手段です。

先ほど挙げた「介護保険対象外のサービス」に含まれることを手伝っても良いですし、気分転換に付き合ってあげても良いでしょう。大切なのは「1人にしておかない」ことだと心得てください。

FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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