筆者が子どものころは、いわゆる「キャッシュレス決済」はクレジットカードしか見かけませんでした。今では当たり前のように使っている交通系電子マネーの1つ・Suicaですら本格導入は2001年からだったため、まだまだ歴史は浅いのです。
しかし、近年、クレジットカードや電子マネーはもちろん、QRコード決済やプリペイドカードなど、様々なキャッシュレス決済の手段が出現し、一気に選択の幅が広がりました。そのような状況のもとでも、クレジットカードに関しては「一度クレジットカード会社が利用額を建て替え、請求額を後日、支払元として指定した銀行口座から引き落とす」のが基本となっています。
このシステムが用いられている以上、高校生がクレジットカードを持つのは厳しく制限されているのが現状です。そこで今回は
- 例外的に高校生がクレジットカードを持てるケース
- 高校生でも使えるキャッシュレス決済の手段
の2点についてお話ししましょう。
目次
高校生がクレジットカードを持つのは基本NG
「単身で高校留学」などの特例があればOKのことも
冒頭でも触れた通り、クレジットカードは「一度クレジットカード会社が利用額を建て替え、請求額を後日、支払元として指定した銀行口座から引き落とす」という仕組みで決済が行われます。そのため、利用者にある程度の支払い能力があることが前提となります。
また、クレジットカードを作るということは「クレジットカード会社と消費者との間で、包括信用購入あっせん契約を結ぶ」という、法律行為の一種です。本来、未成年が単独で行えることではありません。大学生になればアルバイトをするなどの理由で、ある程度の収入が入ってくるようになるため、クレジットカードを作れるようになりますが、それでも20歳未満の場合は親権者の同意が必須です。
このような背景を考えると、ほとんどのクレジットカード会社が「高校在学中は申し込めない」という規約を設けているのが現状ですが、例外もあります。
「海外の高校に進学する」「日本の高校に在籍しているが、交換留学生として派遣される」など、「高校生(未成年者)が単独で海外に渡航し、一定期間生活する」場合に限り
- まず、親権者(父親・母親)や生計維持者(父親・母親以外で生活費を出してくれている人)の名義でクレジットカードを作る
- そのクレジットカードに家族カードを追加し、子どもが現地での生活費の支払いに使えるようにする
という扱いで、高校生に対するクレジットカードの発行を行っている会社も多く存在するのです。
「満18歳以上」かつ「その年の3月に高校卒業」であれば作れるカードもある
また、高校在学中であっても「卒業直前で、18歳に達しているならOK」という扱いをしているクレジットカード会社もあります。大学進学を機に一人暮らしを始めるなどの理由で、生活費や身の回りの準備のために必要、という実情を鑑みた扱いをしているのかもしれません。
例えば、日本全国でスーパーや大型ショッピングセンターを展開するイオン傘下のクレジットカード・イオンカードであれば
イオンマークのカードは卒業年の1月1日~3月31日までの期間であれば、現在高校生の方でもお申込みいただけます。
という扱いで、高校在学中からの申込・発行を認めています。
出典:イオンマークのカードは高校生でも申込みできますか。 | よくあるご質問| 暮らしのマネーサイト
高校生がクレジットカードの代わりに使えるキャッシュレス決済4選
デビットカード
高校生が在学中からクレジットカードを持つのはかなりハードルが高いのが実情です。しかし、高校生であっても使えるキャッシュレス決済は存在します。代表的なのがデビットカードです。これは
のことです。なお、現在はクレジットカードが使える店舗であれば、クレジットカードとほぼ同様に使える「国際ブランドデビット」が主流となっています。銀行によって、扱っている国際ブランドが違うため
- 自分が使っている銀行がデビットカード自体を扱っているか
- 扱っているなら、どこの国際ブランドか
を調べておきましょう。
Visaデビットを扱っている銀行
2021年8月現在、以下の銀行がVisaデビットの発行を受け付けています。
- 楽天銀行株式会社
- スルガ銀行
- あおぞら銀行
- 住信SBIネット銀行
- りそな銀行
- 関西みらい銀行
- 西日本シティ銀行
- SMBC信託銀行
- 池田泉州銀行
- 北海道銀行
- 福井銀行
- 常陽銀行
- ソニー銀行
- 中京銀行
- 山梨中央銀行
- PayPay銀行
- イオン銀行
- 三菱UFJ銀行
- 千葉銀行
- 広島銀行
- 大光銀行
- 滋賀銀行
- 琉球銀行
- 三井住友銀行
- 北國銀行
- GMOあおぞらネット銀行
- 愛知銀行
- 埼玉りそな銀行
- 北陸銀行
- 岩手銀行
JCBデビットを扱っている銀行
2021年8月現在、以下の銀行がJCBデビットの発行を受け付けています。
- 秋田銀行
- 阿波銀行
- イオン銀行
- 池田泉州銀行
- auじぶん銀行
- 愛媛銀行
- 大垣共立銀行
- 沖縄銀行
- 鹿児島銀行
- 北九州銀行
- 紀陽銀行
- 京都銀行
- 熊本銀行
- 佐賀銀行
- 七十七銀行
- 十八親和銀行
- 十六銀行
- セブン銀行
- 千葉銀行
- 中国銀行
- 東邦銀行
- 栃木銀行
- 名古屋銀行
- 西日本シティ銀行
- 八十二銀行
- 肥後銀行
- 広島銀行
- 福岡銀行
- 北洋銀行
- 北陸銀行
- みずほ銀行
- 三菱UFJ銀行
- みんなの銀行
- もみじ銀行
- 山口銀行
- 楽天銀行
Mastercardデビットを扱っている銀行
2021年8月現在、以下の銀行がMastercardデビットの発行を受け付けています。
- 楽天銀行
- 住信SBIネット銀行
- トマト銀行
QRコード決済
QRコード決済とは
です。
支払元にクレジットカードを設定することがほとんどですが、高校生などクレジットカードが持てない人のために、コンビニに設置された銀行ATMからの現金入金という形でチャージ(残高の積み増し)を受け付けているQRコード決済も存在します。メジャーなQRコード決済について、現金入金によるチャージが可能かどうか調べました。
楽天ペイ | 楽天銀行口座からの入金の場合のみ可能 |
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D払い | セブン銀行ATMからの現金入金によるチャージが可能 |
au PAY | セブン銀行ATM、ローソン銀行ATM、ローソン店舗での現金入金によるチャージが可能 |
PayPay | セブン銀行ATM、ローソン銀行ATMでの現金入金によるチャージが可能 |
電子マネー
電子マネーとは
です。
日本では2001年にJR東日本が「Suica」を本格導入したことがきっかけで、一般的に用いられる支払手段の1つとなりました。当初は電車の乗車券替わりに使われていましたが、現在では利用目的が広がり、コンビニエンスストアやスーパーなど、小売店での支払手段としても広く用いられています。
なお、高校生が使う場合、先にチャージ(残高の積み増し)を行って利用する「プリペイド(前払い)形式」の電子マネーの方が使い勝手が良いでしょう。2021年8月現在、以下の電子マネーが日本では利用されています。
プリペイドカード
プリペイドカードとは
のことです。
つまり、もともと決められた金額や事前にチャージした金額の分だけ、買い物ができるカードのことと考えましょう。
以前は、クレジットカードやデビットカードのようにプラスチック製のカードが発行されるものが主流でしたが、近年はスマホアプリ上で動作するプリペイドカードも出現しています。
また「残高が足りない場合に追加でチャージができるか」という観点からも
- 使い切り型:使い切った時点で終わりとなり、追加でチャージはできない
- チャージ型:使い切ったとしても、不足分の残高を追加でチャージできる
と2分されるので覚えておきましょう。なお、前者の代表例が「QUOカード」、後者の代表例が「国際カードブランド付きプリペイドカード」です。
出典:Visaプリペ|クレジットカードの三井住友VISAカード
例えば、国内大手クレジットカード会社・三井住友カードが発行する「Visaプリぺ」はチャージ型のプリペイドカードの1つですが
- 毎月の利用額の0.25%がキャッシュバックされる
- 満6歳(小学生以上)であれば利用できる
など、未成年であっても非常に使い勝手の良いプリペイドカードになっています、
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