2020年から日本を含めた世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症は、日常生活のあらゆる場面にも深刻な影響を及ぼしています。中でも深刻なのは「雇用」でしょう。簡単に言うと
- 勤務先が長期休業を余儀なくされ、収入が大幅ダウンした
- アルバイトのシフトを減らされて家賃が払えない
- 勤務先が倒産・事業撤退を決めて失業した
など「給料が減った」「仕事がなくなった」という悩みを抱えている人が急激に増えているということです。いずれにしても、給料が減ったり、仕事がなくなったりしたら、生活に困窮するのは目に見えています。こういうときこそ、使える国の制度はフル活用しましょう。今回は「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」について紹介します。
目次
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金とは
誰が申請できる?
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」とは
のことです。簡単にまとめると「勤務先から休業手当をもらうことができなかった労働者」 に対して給付されます。
なお、ここでいう「労働者」とは会社・団体と雇用契約を結んで働いている人のことです。そのため正社員はもちろん、アルバイトやパート、派遣社員・契約社員も含まれます。
休業手当とは
本来、会社(事業主)は、会社側の都合でスタッフ(労働者)を休ませた場合、休業手当を支払わないといけません。
労働基準法
(休業手当)
第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
例えば、新型コロナウイルス感染症の場合は
- 体調不良のスタッフを休ませた
- 家族が感染者もしくは濃厚接触者になったスタッフを休ませた
- 経営難でスタッフを休ませた
- 自治体の休業要請は受けていないが自主的に休業した
などの理由でスタッフを休ませる場合、会社側は休業手当を支払う必要があります。
いくらもらえる?
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の支給額は、以下の式で計算します。
細かい条件は、厚生労働省のWebページで解説されているので、ここでは基本的な数式の紹介にとどめます。例えば
- 休業開始前賃金日額:8,000円
- 各月の休業期間の日数:30日
- 「就労等した日数」と「労働者の事情で休んだ日数」の合計:0日
の場合は
が受け取れる仕組みです。
いつまでに申請すれば良い?
申請の期限ですが、休業した期間と勤め先が中小企業・大企業のどちらに属するかによって異なるので注意してください。
中小企業の定義は?
なお、中小企業とは、「資本金の額・出資の総額 」か「常時雇用する労働者の数」が一定数以下の会社を指すと考えましょう。逆に、これらの基準を超えているようであれば、大企業として扱います。業種によって扱いが異なるため、表にまとめました。
産業分類 | 資本金の額・出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
勤務先が中小企業の場合の期限
休業した期間と締切日をまとめました。
休業した期間 | 締切日(郵送の場合は必着) |
---|---|
令和2(2020)年10月~12月 | 令和3(2021)年5月31日(月) |
令和3(2021)年1月~4月 | 令和3(2021)年7月31日(土) |
令和3(2021)年5月~6月 | 令和3(2021)年9月30日(木) |
勤務先が大企業の場合の期限
休業した期間と締切日をまとめました。
休業した期間 | 締切日(郵送の場合は必着) | |
---|---|---|
令和2(2020)年4月~6月 | 令和3(2021)年5月31日(月) | |
令和3(2021)年1月8日(金)~4月 | 令和3(2021)年7月31日(土) | |
令和3(2021)年5月~6月 | 令和3(2021)年9月30日(木) |
用意する書類は?
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」を申請する際に必要となる書類は、以下の通りです。
- 支給申請書
- 支給要件確認書
- 本人確認書類(免許証の写しなど)
- 振込先口座確認書類(キャッシュカードの写しなど)
- 休業前および休業中の賃金額を確認できる書類(給与明細の写しなど)
- (大企業の方のみ)シフト制、日々雇用又は登録型派遣である旨の疎明書及びその内容が確認できる書類
なお、支給要件確認書は、基本的に労働者と事業主で協力して作成します。つまり、勤め先に「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を申請したいので、書類を用意してください」と伝えれば良いのですが、快い返事がもらえないこともあるでしょう。その場合の対応については、後で詳しく解説します。
申請手続きはどうやって進める?
申請手続きですが
- 書類を郵送する
- Web上のフォームに入力して送信する
のいずれかで行います。なお、勤め先で取りまとめて申請する(事業主経由)のはもちろん、スタッフ(労働者)が各自で申請してもかまいません。
書類を郵送する場合の注意点
まず、書類を郵送する場合は、こちらが宛先になります。
日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当
ただし、郵送する場合は締切日に実際に書類が到着していないといけないので、スケジュールに余裕を持ちましょう。
Web上のフォームに入力して送信する場合の注意点
Web上のフォームに入力して送信する場合は、以下のリンクを使いましょう。
ただし、画像を見てもわかるように、最初にマイページ登録を行う必要があります。
決して難しい手続きではありませんが、締切間近になると慌ててしまいがちになるはずなので、やはりスケジュールに余裕を持って進めてください。
会社に申請を止めるよう言われたら?
「申請を止めるよう言われた」と書けば大丈夫
既に触れたように、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」を実際に申請する際には、様々な書類を提出する必要があります。これらの書類は、勤め先の協力も得て作成したほうが効率的なのは確かです。その点も鑑み、厚生労働省は
休業支援金の支給を申請する際、事業主の協力を得て書類を作成すれば、審査が早く進みますので、事業主に相談してください。
と呼びかけています。しかし、事業主 = 会社の担当者・代表者の中には「面倒くさいから」などの理由で非協力的な人もいるのが事実でしょう。そのような場合は、泣き寝入りをするのではなく「申請を止めるよう言われた」「会社が書類を書いてくれない」など、事情を書いた上で書類を提出すれば申請可能です。
解雇、パワハラに遭った場合は相談を
さらに悪質なケースだと「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を申請したい」と相談しただけで
- 解雇や雇止めの話をされた
- 殴る、暴言を吐かれるなどのパワハラをされた
- 仕事を干された
などの対応を受けることもあります。
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