世界と比べて、日本はキャッシュレス後進国と言われています。それでも、近年ではクレジットカードを利用できる店舗が増えてきたため、普段の買い物でも重宝している人は多いはずです。だからこそ、本来クレジットカードが使えるはずなのに、使えないと驚いてしまうでしょう。
もちろん、その原因は様々であり、一概に「自分のせい」とは言い切れません。そこで今回は、クレジットカードが使えない原因として考えられるもの8つと、原因に対する対策について解説しましょう。
目次
原因1.有効期限が切れた
クレジットカードの有効期限とは
個々のクレジットカードには
- 偽造・不正利用防止のため
- 定期的な再審査を行うため
- クレジットカード自体が摩耗する性質があるため
の3つの理由により有効期限が設けられています。
なお、有効期限は「月/年」の形式でクレジットカードの券面に記載されています。例えば「05/24」と書いてあった場合は「2024年5月31日まで有効」という意味です。
【対策】更新カード、もしくは別のカードを使う
通常、クレジットカードの有効期限が切れる1カ月ほど前になると、クレジットカード会社から更新カードとして新しいカードが送られてきます。
問題なく使えるようであれば、古いクレジットカードは廃棄してかまいません。ただし、廃棄するときは細かく刻み、何回かに分けてゴミに出すなど、不正利用や偽造に使われないよう、細心の注意をはらいましょう。
また、更新カードが届いていない場合は、手元にある別のクレジットカードを使いましょう。なお、更新カードが届かない理由は
- 単に事務処理が遅れている
- 引っ越したのに住所変更の手続きをしていなかった
- これまでの利用状況から更新が見送られた
など、様々なことが考えられます。有効期限切れが近くなっても、更新カードが届かない場合は、一度クレジットカード会社に連絡し、状況を確認しましょう。
原因2.利用限度額を超えている
クレジットカードの利用限度額とは
クレジットカードには、会員の支払能力に応じた利用限度額が設定されています。入会後の利用状況やその人自身の状況の変化(転職による年収アップなど)を勘案し、上下する仕組みです。
【対策】別のカードを使うか、所定の口座に入金する
こうなってしまうと、そのクレジットカードを使って支払いを行うことはできないので、別のクレジットカードもしくは現金を使って支払いを進めましょう。また、利用限度額を超えてしまった場合でも、クレジットカード会社に連絡をし、不足分を所定の銀行口座に入金すれば、早ければその日のうちから利用限度額が復活し、また使えるようになります。
原因3.支払いの遅延がある
支払いの遅延で起こること
クレジットカード払いの基本的な仕組みは
- 加盟店で会員がクレジットカードを利用して支払いをする
- 加盟店からの連絡を受け、クレジットカード会社が手数料分を差し引いた金額を、会員に代わって加盟店に立替払いする
- クレジットカード会社は、一定期間における利用額を集計し、会員に対して請求を行う
- 所定の引落日になると、支払元として指定された銀行口座から請求額が引き落とされる
というものです。そのため、所定の引落日の銀行口座の残高が足りないなどの理由で、引落が完了しなかった場合、それは「支払遅延」として扱われます。
【対策】すぐに連絡し、対応を仰ぐ
こうなってしまうと、少なくとも遅延している分の支払が完了するまでは、クレジットカードは利用できません。
なお、引落が実行できなかった場合の残額の支払方法ですが
- 後日(1~2日後)に再度引落を実行してもらう
- 所定の銀行口座と金額を聞いて、振り込む
- 後日、払込用紙を郵送してもらい、それを使ってコンビニなどで支払う
などが考えられます。クレジットカード会社によっても扱いは様々なので、確認して迅速に進めましょう。なお、支払遅延が複数回(目安としては2~3回以上)続くと、強制解約の原因になることもあります。
原因4.不正利用された可能性がある
クレジットカード会社も神経をとがらせている
オンラインショッピングが普及したことにより、なりすましなど、クレジットカードの不正利用が急激に増えています。クレジットカードの業界団体の1つ、日本クレジット協会がまとめた2014年から2019年までの不正利用の被害額の推移は、以下の通りです。
期間 | 不正利用被害額 |
---|---|
2014年 | 114.5億円 |
2015年 | 120.9億円 |
2016年 | 142.0億円 |
2017年 | 236.4億円 |
2018年 | 235.4億円 |
2019年 | 273.8億円 |
出典:クレジット関連統計|クレジット関連資料|一般社団法人日本クレジット協会
不正利用がうなぎのぼりに増えている以上、クレジットカード会社側も専任の担当者やAIなどを活用し、不正利用のモニタリングを強化しています。
【対策】すぐに連絡し、対応を仰ぐ
銀行口座の残高も十分にあり、有効期限もまだ十分にあるのにクレジットカードが使えなくなった場合、不正利用の疑いがあり、クレジットカード会社側が止めているケースが考えられます。
原因5.クレジットカード情報の入力ミスをした
自分専用のパソコンを使っている場合は要注意
パソコンには、キャッシュといって、過去に閲覧したWebサイトの情報や、そこで入力したID、パスワードなどの文字列を自動保存する機能があります。クレジットカードの情報についても、キャッシュが働いて保存される仕組みです。
そのため、仮に一度間違った情報を入れてしまうと、そのまま記録されてしまうので注意しましょう。特に、自分専用のパソコンを使っている場合は、間違ったままになってしまいがちです。
【対策】落ち着いて入力し、確認する
たとえ、キャッシュが働いていて、以前入力したクレジットカード情報が残っていたとしても、決済をスムーズに進めるという観点からは、1回1回入力した方が安全です。オンラインショッピングなど、Webを経由してクレジットカードを利用する際は
- クレジットカード番号
- 有効期限
- 名義
- セキュリティコード
を落ち着いて入力し、確認しながら進めましょう。
原因6.クレジットカード自体が故障している
クレジットカードが故障する原因
クレジットカードには、磁気ストライプやICチップが組み込まれています。クレジットカードは、これらの部品に必要な情報を記録し、支払いに使えるようにしているのが基本的な仕組みと考えましょう。
なお、部品が故障する原因としては
- 磁石やテレビなど、強い磁気を発するもののそばに置いておく
- 財布への出し入れなどにより表面がこすれる
- 水や汚れがついてもそのままにしていた
- クレジットカード自体に何らかの理由で圧力がかかり曲がってしまった
などが考えられます。
【対策】新しいクレジットカードを送ってもらう
また、その際の手数料を自己負担するのか、無料なのかは、クレジットカード会社によって扱いが異なります。さらに、使えなくなったクレジットカードの扱いについても、所定の封筒に入れて返送するのか、自身で処分するのかはまちまちです。説明を聞き、対応を進めましょう。
原因7.店側がその国際ブランドに対応していない
国際ブランドとは
クレジットカードには、国際ブランドが付帯しています。国際ブランドとは、決済システムもしくは決済システムを提供する会社のことで、日本では
- Visa
- Mastercard
- JCB
- American Express
- Diners
の5つが用いられています。
しかし、これらの中でも、VisaやMastercardが広く普及しているのに対し、残りのJCB、American Express、Dinersについては、利用できない店舗・サービスも多く存在します。
【対策】国際ブランドを変えるか、現金で支払う
自分が使うつもりのクレジットカードに付帯している国際ブランドがVisaかMastercardだった場合、店舗側が対応していない可能性はかなり低いです。
しかし、JCBやAmerican Express、Dinersについては、手数料の高さから導入しない店舗も多く存在します。こればかりは自分でどうにかできることではないので
- VisaかMastercardのクレジットカードがあればそれを使う
- 手持ちの現金があれば使う
など、他の手段で支払うことを考えましょう。
原因8.店側の端末が故障している
【対策】現金や電子マネー、QRコード決済で払う
クレジットカード決済を行うには、専用の端末と決済システムのアカウントが必要です。つまり、端末が故障していたり、決済システムでエラーが生じていたりした場合は、クレジットカード払いはできないことになります。
これも先ほど紹介した国際ブランドの問題と同様、自分ではどうしようもできません。店員に利用できる決済手段を聞いた上で、支払いを進めるしかないでしょう。
コメント