税理士に依頼すると100万円かかる相続税申告書を0円で作る方法

大切な家族に万が一のことがあった場合、葬儀や生前に親しくしてくれた人への挨拶、遺品の整理など、やらなくてはいけないことがたくさん発生します。

その中でも、相続税に関しては「相続開始日から10カ月以内に申告・納税を終らせなくてはいけない」という明確なタイムリミットがあるため、大半の人は「やっぱり、税理士に頼まないとダメかな?」と思ってしまいがちです。

しかし、相続税申告書の作成は税理士でないと出来ないわけではありません。相続財産が自宅と金融資産だけというような一般的な家庭においては、自分たちだけで相続税申告書を作成するのは十分可能です。

今回は「相続税申告は税理士に依頼するのがベストとは限らない」という話をした上で、自分でできるようになるための便利ツール「AI相続」をご紹介します。

「相続税申告書の作成は難しく、税理士にしかできない」という思い込み

冒頭でも触れましたが、相続税申告が必要になった場合、ほとんどの家族は自分たちで作ることなど、はなから考えずに税理士に依頼するのを検討します。しかし

  •  亡くなった人(被相続人)の財産が未上場の株式や、海外の不動産など、評価が難しいものばかりだった
  • 「財産の一部を特別な縁故関係にあった者に相続させる」旨の遺言で、亡くなった人の配偶者・親・子ども(孫)・兄弟姉妹(法定相続人)以外への遺贈の指定があった

などの特別な場合を除き、相続税申告書の作成というのは実は意外なほど簡単です。そして、まずは自分たちで相続税申告書の作成に取り組むこと自体にも多くのメリットがあります。

そもそも税金の申告書は自分で作るのが基本

相続税は国に納める税金である「国税」です。そして、国税というのは「自分で申告書を作成し、納税すること」が前提に制度設計されています。

国の税金は、納税者の一人一人が、自ら税務署へ所得等の申告を行うことにより税額が確定し、この確定した税額を自ら納付する申告納税制度を採用しています。

出典: 国税庁「4. 申告納税制度」

つまり、本来であれば、相続税というものは自分で申告書を作成し、納税するのが基本なのです。

「自分でできない場合に税理士に頼む」が正解

もちろん、先ほど触れたように、複雑な事例で相応の知識がないと判断が難しかったり、時間的な余裕がなかったり、そもそも数字が苦手だったりする場合には、自分や家族だけでは到底10カ月というタイムリミットまでに相続税の申告・納税までたどり着きそうにないというケースもあるでしょう。

そのような場合であれば、税理士に頼むのも1つの選択肢になります。

ちなみに、税金の申告書の作成を第三者に依頼する場合には、税理士にしか頼めません。

これは、税理士以外の人が本人に代わって申告等を行うことが税理士法によって禁止されているためです。もちろん相続税申告もその例外ではありません。

参照:国税庁「2 非税理士により行うことが禁止される税理士業務」

税理士に任せるよりも、家族たちが自分で作った方が正確である場合も

税理士というと「あらゆる税金に関する知識を有している」というイメージを持つ人が多いかもしれません。

確かに、税理士試験に合格し、実務経験を積んでいる以上「自身が税理士試験で選択した科目」や「税理士事務所に就職した後に手掛けた仕事」に関連した税法については、相応の知識を有しています。

1度も相続税申告書を作ったことがない税理士もいます

しかし、相続税に関して言えば、税理士試験でも必須科目ではない上に、「税理士事務所で仕事しているけど、相続税申告書なんて1度も作ったことがない」という税理士も少なくありません。

この事実を、数字から読み解いてみましょう。

国税庁が発表した「令和元年分 相続税の申告事績の概要」によれば、令和元(2019)年分の相続税申告件数は、非課税となるケースも含めて約15万件でした。

参照:国税庁「令和元年分 相続税の申告事績の概要」

一方、日本税理士会連合会の統計によれば、令和3(2021)年現在、税理士登録者数は79.280人です。

参照:日本税理士会連合会「税理士登録者・税理士法人届出数(令和3年5月末日現在)」

計算しやすくするために

  • 日本全国に税理士が8万人いる
  • 1年間での相続税申告件数は15万件であり、その申告書はすべて税理士が作っている

と考えましょう。

単純平均した値ではあるものの、税理士1人当たりの1年間の相続税申告件数(作った相続税申告書の枚数)は2件にも満たないことがわかります。

もちろん、これは個々の税理士の事情を全く考えないで計算した数値です。

そのため「今年は相続税の申告書は作っていない」という税理士がいる一方、相続税申告専門の事務所に勤務しているなどの理由で、1人で年間50件以上の申告を行う税理士も数多くいます。

このような結果、1年で一回も相続税申告に携わらない税理士というのが非常に多く存在しているのです。経験の少ない税理士に相続税申告を頼んだ場合

  1. 経験の少ない税理士は、税理士資格を有していない一般の人と知識レベルは大してかわらず、調べながら手探りで申告書を作る
  2. 経験の少ない税理士は、知識がないにもかからず税理士である自負は強く、他の申告に比べ難易度が低い相続税申告を甘く見て、丁寧に調査をせず凡ミスをする
  3. 相続税申告にかかわる税理士報酬は経験の多寡にかかわらず一般的に非常に高い
  4. 顧客はその相続税申告書を使って申告・納税をするが、後で税務署から間違いを指摘され、修正申告・追徴課税が発生する

「お金を払って仕事をしてもらったのに、トラブルが起きる」結果になりかねません。

それなら、自分や家族が税務署に出向き、職員に質問しながら自力で相続税申告書を作成した方が、正確な相続税申告書が出来上がり、トラブルに見舞われる可能性も低くなるでしょう。

不透明な税理士報酬

高級飲食店などで値段の表示に「時価」と書いてあると「一体、いくらだろう…」と不安になってしまうのは筆者だけではないでしょう。

「商品・サービスの対価として自分はいくら支払うべきなのか」がわからないことに不安を覚えるのは当然のことです。

しかし、税理士業界において「税理士報酬としていくら払えばよいのか、事前にわからない」というのは決して珍しいことではありません。具体的には

  • Webページ上で報酬基準を明示していない
  • そもそも事務所としても明確な基準を決めていない

なんてことが多くあるのです。

もちろん、後からの提示であっても報酬に不満があれば「何でこんなに支払わないといけないの?」と、値段交渉をするのも1つの選択肢でしょう。

しかし、相続税申告書の作成報酬の交渉をすることに対し「家族の死にまつわることなのに、値切るようで恥ずかしい」という感情を持ち、結局言い値で払ってしまう家族が多くいます。

一般的な「相場」もフェアでない

さらに言うと、相続税申告書の作成を税理士に依頼した場合に払うべき、報酬の相場というのも本当にまちまちです。

だいたいの税理士は「遺産総額の0.5%~1.0%」というような基準で報酬を設定していることが多いですが、0.5%と1%の間には2倍以上の開きがあります。

しかも、遺産総額に比例して報酬が決まるということは、「遺産の評価額は1億円だったものの、ほとんどが銀行への預金だったため、残高証明書を取り寄せて計算すれば終わり」といように極めて単純な案件だった場合には、非常に割高な報酬となります。

もちろん、同じく遺産総額が1億円だったとしても、「大小さまざまな土地が多く含まれており、その一つ一つの評価もなかなか手間がかかる上に、相続税申告期限が迫っており急ぎの対応が必要」というような案件であれば、ある程度報酬が高額になるのは当然でしょう。

つまり本来、相続税申告における税理士報酬は、遺産総額に比例して決まるものではなく、実際に税理士が行う作業量に応じて決まるべきものなのです。

ですが、現在の税理士報酬は旧態依然としていて、未だに遺産総額に比例して決めている税理士事務所がほとんどです。

一般家庭における相続税申告のリスクはどの程度なのか?

  • 「でも、もし自力で相続税申告書を作ったとして、それが間違いだったらどうするの?」
  • 「朝、家のドア開けたら税務署の職員の人がずらーっ、なんて嫌だ!」

などと、自身で作成した相続税申告書を提出することに対し、間違いがあった場合にどのように対応すれば良いのか不安に思う人もいるでしょう。

税務署からの「お尋ね」が来ても自然に応じれば大丈夫

結論から言うと、万一間違いがあって税務署からお尋ねがあったとしても、内容を聞いて、それに沿った対応をすれば問題ありません。

巨額な脱税を故意に行っていてでもしなければ、逮捕されてしまうなどということはあり得ません。もちろん朝起きたらいきなり強制捜査が行われるなんてこともありません。

強制捜査というのは、巨額の脱税などが絡む、極めて悪質なケースである場合において、国税局調査査察部査察部門(マルサ)が裁判所から許可証の交付を受けた上で、行われるものであり、ほとんどの人にとっては縁のない話です。

電話がかかってきたり、担当者が訪ねてきたりしたら、聞かれたことに素直に応じれば大丈夫です。

相続税申告書が自分で無料で作れる「AI相続」ってなんだ?

ここまで読んでもらえたなら、「相続税申告書って、自分で作って出しても大丈夫なんだ」とわかってもらえたはずです。しかし、相続税に関する本や国税庁のWebページを読み、一から自分で相続税申告書を作るよりも、比較にならないほど効率的に進められそうな方法を見つけたので紹介します。それは「AI相続」を使うことです。

「AI相続」とは

出典:みなと相続コンシェル「AI相続」公式Webページ

「AI相続」とは、簡単にまとめると

必要事項を入力するだけで相続税額の計算ができ、入力した情報をもとに相続税申告書を自動で作成してくれる

サービスです。完全無料で使える上に、作成した申告書は、印刷してそのまま税務署に提出する相続税申告書として使えます。

基本的な使い方はこちら

基本的な使い方は、以下の通りです。

  1. 相続税申告に必要な各種資料を集める
  2. 相続人同士で話し合い(遺産分割協議)を行い、書類(遺産分割協議書)にまとめる
  3. 「AI相続」への会員登録を済ませた上で、相続人情報・財産・分割割合などの必要情報を入力する
  4. 申告書が作成されるので、プリンターで印刷して税務署に持参・郵送で提出する(必要なら納税も行う)

出典:みなと相続コンシェル「AI相続」公式Webページ

筆者も会員登録を済ませてみました

「AI相続」を使うためには、会員登録が必要です。筆者もやってみたので、画像も交えながら、流れを解説しましょう。

まず、トップページにアクセスし、右上の「ログイン 会員登録」をクリックします。

出典:みなと相続コンシェル「AI相続」公式Webページ

すると、以下の画面に移るので、必要事項を入力しましょう。入力が完了したら「AI相続を始める」をクリックしてください。

出典:みなと相続コンシェル「AI相続」公式Webページ

画面が切り替わり、認証コードを求められますので、メールに届いている認証コードを入力しましょう。

出典:みなと相続コンシェル「AI相続」公式Webページ

認証コードを入力すると、会員登録が完了です。

出典:みなと相続コンシェル「AI相続」公式Webページ

登録が終わったら、さっそくログインしてみましょう。ログインには登録に利用したメールアドレス、パスワードを使います。

出典:みなと相続コンシェル「AI相続」公式Webページ

出典:みなと相続コンシェル「AI相続」公式Webページ

ログインしたら、あとは入力画面に従って一つひとつ順番に入力していくだけです。もちろん該当のない項目はスキップすれば大丈夫です。

たったこれだけで、相続税申告書ができてしまいます。

「AI相続」をおすすめする人

今回の記事を書くにあたり「AI相続」の提供元であるみなと相続コンシェルの担当者様に「AI相続って、どんな人におすすめですか?」と単刀直入に聞いてみました。おすすめできる人の条件として以下の3つを教えてもらったので、詳しく解説します。

数字に抵抗がない人

「AI相続」は、必要情報の入力が完了すれば、後は自動で相続税額の計算や相続税申告書の作成をしてくれますが、必要事項を入力するところまでは自分でやらないといけません。簡単とはいえ、税務申告の書類ですから、「数字?見るのも嫌!」というような感じで、数字が理屈抜きに苦手な人は少々厳しいでしょう。

自分で情報収集する時間がある人

相続税申告書を作成するためには、その前段として様々な書類を集める作業が必要になります。何を用意しなくてはいけないのかは、個々のケースによっても異なるので一概に言えませんが、相続税申告ではかなり多くの書類を集めなくてはいけません。

ある程度の時間と体力があり、自力で何とかできそうな人なら問題ありませんが、そうでないなら「AI相続」では限界があります。

家族間でのもめごとが起きなさそうな人

「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉があるように、金銭トラブルは人間関係に深刻なダメージを及ぼします。それは、家族であっても何ら変わりません。

  • 普段からあまり仲良くなかった
  • 家族間で不公平感が強くあり、遺産分割協議がまとまらない

など、もめごとが起きそうな要素があるなら、いっそ税理士に第三者として入ってもらった方が冷静に話を進められるはずです。そのような要素がないなら「AI相続」を使って無料で済ませても、何ら問題はないでしょう。

「AI相続」はおすすめできない人はどうすべき?

ここまで説明してきた通り「AI相続」は非常に便利なサービスではあるものの、向いていない人がいるのも実情です。

信頼できる税理士さんが明朗会計で対応してくれます

向いていない場合は、税理士に依頼するのが現実的ですが、「AI相続」の運営会社であるみなと相続コンシェルでは「シンプル相続」という名前で、税理士に相続税申告が依頼できるサービスも行っています。

税理士の報酬基準はWebページ上ではっきり示されており、安心して依頼することができます。

出典:みなと相続コンシェル「シンプル相続」公式Webページ

【まとめ】税理士の本当の仕事って何だ?

そろそろまとめに入りましょう。筆者はこの記事を書いて「税理士が本当にやるべき仕事は何だ」という疑問を抱きました。今回取り上げた相続税申告書の作成のように、顧客から頼まれた書類を作成するのも重要な仕事の1つですが、それ以外の「何か」があるような気もしたのです。

正しい税金の知識、納税の意識を身につけてもらうこと

日本税理士会連合会のWebページには、税理士が果たすべき役割の1つとして「申告納税制度の担い手たること」が示されています。

税理士は、税の専門家として納税者が自らの所得を計算し、納税額を算出する申告納税制度の推進の役割を担います。

正しい税金の知識を持ち、正しい納税の意識を身につけていただくために、税理士はその手助けを惜しみません。

出典:日本税理士会連合会「税理士とは」

この文章からもわかるように「税金の申告書の作成・納付は基本的には自分でやるべきことであるものの、わからないことがあれば手助けを惜しまないこと」が、税理士が社会的に果たすべき役割の1つであるはずです。

言い換えれば「正しい税金の知識、納税の意識を身につけてもらうこと」が、税理士が本来果たすべき仕事なのでしょう。

まずは自分でやってみるのが大事

このような背景を考えると、相続税申告書についても「まずは、自分でできないか考え、できそうなら自分で手を動かしてみる」という意識を、納税者がちゃんと持つことが大事です。しかし「自分で手を動かす」と言っても、使い方がわかりにくかったり、高額なツールしかなければ、やる気は起きません。

この点「AI相続」は使い方がわかりやすい上に、無料で使えるという点で、大きなメリットを有しています。

「家族に万が一のことがあったら、相続税の申告とかどうしようかな」と思っている人は、一度「AI相続」をチェックしてみてはいかがでしょうか。

「AI相続」公式Webページはこちら

FP 荒井 美亜

FP 荒井 美亜あらい みあ

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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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