近年「終活」といって、自分に万が一のことがあったとしても、家族が困らないよう
- 遺言書を作る
- 家の不要なものを片付ける
- 万が一のことがあった時に連絡してほしい人のリストを作る
など、できる準備を始めておくよう呼びかける専門家は多いです。
確かに、そういう話を聞くと、多くの人が「ふむふむなるほどな」と一定の理解は示すでしょう。しかし、話を聞いたあと、自分から何か具体的な取り組みをしているかどうかは未知数です。
「まあ、大丈夫でしょ」と気軽にとらえる人もいれば、「そうは言われても、やり方がわからなくて…」と困惑している人もいるはずです。気軽にとらえる人については、本人の価値観の問題でもあるので真向から否定する気はありません。
しかし、やり方がわからなくて困惑している人に対しては「こういう風にするとうまく行きますよ」というアドバイスを筆者は惜しみなくしていきたいと考えています。
そういうわけで、今回は「遺言書を作ってみようと思うけど、何から手を付ければ良いかわからない」という人のために役立つアプリ「らくつぐ」について紹介します。
目次
遺言書を作りたいけど作れない人が多いのはなぜ?
本題に入る前に、世の中にはどのくらい「遺言書を作ってみようと思うけど、何から手を付ければ良いかわからない」と困っている人がいるのか、データを用いて検証してみましょう。
ちゃんと作った人は100人のうち7人未満
今回使うのは「平成29年度法務省調査 我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書」です。
つまり、遺言書について様々なアンケートを行ったのですが、こちらの結果によれば
- 自筆証書遺言を作成したことがある人:3.7%
- 公正証書遺言を作成したことがある人:3.1%
でした。
出典:株式会社リベルタス・コンサルティング「平成29年度法務省調査 我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書」
「作ってみたい」人は100人のうち30人以上はいる
遺言書を作った人はごくわずかですが、遺言書を作ること自体に興味がある人は決して少なくありません。アンケートは55歳以上の人を対象に行われましたが、すべての世代で3割以上が自筆証書遺言・公正証書遺言を作ってみたいと回答していました。
出典:株式会社リベルタス・コンサルティング「平成29年度法務省調査 我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書」より筆者作成
不安な理由No.1は「書き方や法律がわからない」
つまり、種類はともかく、遺言書を作ってみたいと思う人はそれなりにいることがわかりますが、何がネックになって実際に作るところまで達していないのか考えてみましょう。
やはり、不安点として挙げた人が多かったのは「書き方・法知識」でした。以下のグラフからもわかるように、ほぼすべての年代で3割近い人がこの点を指摘しています。
出典:株式会社リベルタス・コンサルティング「平成29年度法務省調査 我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書」より筆者作成
書店に行けば「今日から始める終活」「初めてでもわかる遺言書の書き方」というようなタイトルで、終活や遺言書の基本について解説した本はたくさん並んでいます。Webページだって同じです。
そのため「書き方・法知識」自体が世の中に出回っていないとは考えにくいのですが
から、困っている人が多いのでしょう。
遺言書がサクッと作れる!司法書士全面監修のアプリ「らくつぐ」って?
実は筆者も、このような仕事をしている立場でありながら、今まで遺言書を書こうとしたことは一度もありません(緊急時用の連絡先などの必要情報はまとめています)。
「本やWebページを見れば、書き方や法律は分かるけど、実際に書いてみるのはまるで違いそうだから」というのが理由です。
そろそろ「人様に遺言書を書くよう伝えているのに自分は書いていない微妙な立場」を脱却しなくては…と思った矢先に、非常に便利なアプリを見つけました。それが「らくつぐ」です。
こんなアプリです
「らくつぐ」とは
です。
司法書士事務所が監修しているので安心
なお、このアプリの作成・監修を行っているのは司法書士事務所N-firstです。
チャット形式で答えていくだけで遺言書が出来上がる
操作もとても簡単です。詳しくは後述しますが、チャット形式で質問が出てくるので、自分に当てはまる選択肢(住所や氏名など、一部記述式の部分もあり)を選んでいくだけで、法的に有効な自筆証書遺言の文面が出来上がります。
提出するときは自筆がマストなので注意
ただし、自筆証書遺言はあくまで「自分で手書きで作ること」が前提です。
少なくとも、以下の5つのポイントは必ず守ってください。
- 遺言者本人が自筆で全文を書く
- 作成した日付を正確に自筆で書く
- 氏名を自筆で書く
- 印鑑を押す
- 訂正には印を押し、欄外にどこを訂正したかを書いて署名する
実際に使ってみました
せっかくなので、筆者も使ってみました。まずはアプリをインストールします。なお、筆者のスマホはAndroidのため、Google Playからダウンロードすることになります。
インストールが完了したら、アプリを立ち上げます。自分で遺言書を作りたい場合は「遺言書を作る」をタップしましょう。
タップすると、このように画面が切り替わります。
あとは質問に答えていけば良いだけです。自分に当てはまる選択肢を選んだり、必要に応じて文字入力をしたりしていきましょう。
なお、全体の進捗度が画面上部にゲージで示されます。「あとどのくらいで終わるか」が大体わかるので、ストレスなく進められるはずです。
すべての入力が終わると、このようなメッセージが現れます。問題がなければ「OK」をタップしましょう。
すると、このように自筆証書遺言の文面が表示されます。PDFでダウンロードすることも可能です。印刷したものを見ながら、自分で手書きし、印鑑を押せば完成します。
「遺言書必要度診断」も受けられます
なお「らくつぐ」内には「遺言書必要度診断」というコンテンツも収録されています。アプリを立ち上げたら、右上の「menu」をタップしましょう。
すると、このようにメニュー一覧が表示されます。その中から「遺言書必要度診断」を選び、タップしてください。
タップすると、質問が表示されます。自分に当てはまるものがあれば選び、最後に「診断する」をタップしましょう。
すると「遺言書作成の必要度」がパーセンテージで表示されるとともに、一言アドバイスがもらえます。
本気で作りたいなら司法書士に頼めます
「うーん、うちの場合、ややこしそうだから、ちゃんと司法書士さんと相談しながら作りたいんだよね」など、複雑な案件になる可能性が高いため、相談しながら着実に遺言書の作成を進めていきたい場合は、アプリ上から運営元である司法書士法人エヌファーストに問い合わせをすることも可能です。
アプリを立ち上げ「依頼する」をタップしましょう。
すると、問い合わせフォームが出てくるので、必要事項を入力して送信しましょう。
【まとめ】思い立ったが吉日だから早速試してみよう
「そうは言っても、遺言書なんて役に立つのはいつになるかわからないし…」と思う人はいるかもしれません。しかし「一寸先は闇」ということわざがあるように、人生、いつ何が起きるかわからない以上「今日は元気だったのに、明日は万が一のことが起きていた」なんていう事態も起こらないとは断言できないのです。
あまりに悲観視しすぎるのもどうかと思いますが「自分に万が一のことがあったとしても、周囲が慌てないための最低限の準備」として、遺言書を書いてみるのも良いでしょう。
実は遺言書は15歳以上なら作れます
ちなみに、15歳以上であれば、法的に有効な遺言書を作成することが可能です。「らくつぐ」の場合、アプリをインストールして、チャットの質問に答えていくだけで、元になる文面は作れてしまいます。
筆者が実際にやってみたところ、3分程度しかかからなかったので、電車の待ち時間に試すこともできるはずです。「どんなもんだろう?」と思った人は、さっそく使ってみてくださいね。
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