保険の請求忘れははっきり言って損。請求忘れを防ぐためのポイントを伝授します

筆者が小学生だったころ「家に帰るまでが遠足です」と言われました。当時は「先生何言っているの?」と全く意味が理解できませんでした。しかし、今となっては「目的地から学校に戻り解散したとしても、生徒が自宅に帰宅する際に事故が起きたのでは、遠足が無事故で終わったとは言えない」という意味だったのだと理解できます。

さしずめ、保険は「保険金や給付金を請求するところまでが保険です」と言ったところでしょう。あくまで筆者の私見ですが「保険に加入すること」に関心がある人は多いものの、「何かあった時に保険金・給付金を請求すること」にまでは関心が行き届いていない人も少なくない気がします。

毎月、決して安くはない保険料を払っている以上「請求すれば保険金や給付金が受け取れるはずなのに、請求しない」のは非常にもったいないです。そこで今回は

  • 保険の請求忘れが生じる原因
  • 保険の請求忘れを防ぐためのポイント
  • 万が一、自分や家族の保険の請求忘れが発覚した場合の対応

について解説しましょう。

保険の請求忘れが生じる原因は?

そもそも「何があったら請求できるか」を理解していない

保険の請求忘れが生じる原因の1つとして考えられるのは

そもそも「何があったら請求できるか」を理解していない

ことです。例えば、火災保険というと、名前のせいか「家が火事になった時しか保険金下りないんでしょ?」と思ってしまいがちですが、それは違います。細かい部分は保険会社や商品、契約によって異なりますが、一般的な火災保険の場合、以下の事故が起こった場合に補償が受けられると考えましょう。

火災、落雷、破裂・爆発家が家事になったり、雷が落ちたり、ガス漏れによる爆発が起きた場合に補償が受けられる。
風災、雹災(ひょうさい)、雪災台風・暴風で家が壊れたり、ひょう(雹)が降ってきて屋根に穴が開いたり、雪の重みで家の屋根がへこんだなどの場合に補償が受けられる。
水災台風などで洪水が起き、床上浸水したため家具や建物がダメになったときに補償が受けられる。
外部からの衝突、水濡れ(みずぬれ)、盗難近くで遊んでいた子どもが投げたボールが原因で家の窓ガラスが割れたり、家に泥棒が入ったりした場合に補償が受けられる。
不測かつ突発的な事故(破損、汚損)模様変え中に家具を倒してしまったり、子どもがドアに物をぶつけてドアが壊れたりした場合に補償が受けられる。

必要な書類がわからない、用意できない

「何があったら請求できるか」を理解していたとしても、実際に保険金・給付金が下りる可能性があるトラブル(保険事故)が起きた際に

  • どんな書類を用意すればいいのかわからない
  • 用意すべき書類はわかったが、どこに行けば手に入るかがわからない

ため、請求ができないことも考えられます。

自分たちで何とかしようと気をもんでいるうちに、面倒くさくなってしまい「やっぱりいいや」と諦めてしまった人もおそらくいるのでしょう。そうだとしたら、あまりにもったいないです。

家族が何の保険に入っているか理解していない

「一寸先は闇」という言葉があります。今、問題がなく過ごしているように思えても、先に行ってどうなるかわからない、という意味です。この言葉の通り、昨日まで元気だった人が、今日、事故やトラブルに巻き込まれ、万が一のことになってしまう可能性はゼロではありません。

仮に、家族が亡くなってしまったり、本人だけでは何もできないほどのケガ・病気になってしまったりした場合、様々な問題が生じます。

そして「その家族がどんな保険に入っていたのかわからない、調べようがない」場合も、本来受け取れるはずの保険金・給付金は受け取れません。保険会社はあくまで「契約者およびその家族からの連絡を受けて、保険金・給付金の請求手続きを進めていく」のが基本だからです。

「その家族がどんな保険に入っていたのかわからない、調べようがない」場合は、そもそも保険会社に連絡すらできません。

クレジットカードに付帯している保険の内容を理解していない

意外と盲点になりがちなのが、クレジットカードに付帯している保険です。特に、海外旅行保険・国内旅行保険が付帯しているクレジットカードを使っている場合は注意しましょう。

  • 家族が海外出張に行っていたが、現地で体調を崩し、残念ながら亡くなってしまった
  • 旅行中に熱を出して現地で病院に行き、診察代を払った
  • 乗継便を使って帰国するつもりだったけど、前の飛行機が遅れてしまい、予定した便に乗れず現地で1泊する羽目になった

など「本来であれば、何らかの保険金・給付金が受け取れるかもしれないのに受け取っていない」ことは十分に考えられます。

保険の請求忘れを防ぐためのポイント

自分が加入している保険の内容を理解する

原因を説明したところで、どうすれば請求忘れが防げるのかについても、言及しておきましょう。最も大切なのは「自分が加入している保険の内容を理解する」ことです。一番正確に把握するためには、自分の保険証書を見ることが確実です。すべては把握できなくても、重要な項目については把握するようにしましょう。例えば、医療保険の場合は

  • 契約期間と保障内容を確認する
  • 医療保障や特約の内容を確認する

の2点は最低でも行うようにしてください。「保険証書を見ても何が何だかわからない!」という人は、自分が加入している保険商品のWebサイトやパンフレットの図解も参考にしながら確認するといいでしょう。

出典:保障プラン|医療保険 新キュア|オリックス生命保険株式会社

請求に必要な書類の種類・入手方法を把握しておく

仮に、保険事故が起こった場合、どうすれば保険金・給付金が受け取れるのかについても、あらかじめ理解しておく必要があります。特に重要になるのが

  • 請求に必要な書類は何か
  • どこに行けば入手できるのか

の2点です。このあたりは、保険会社の担当者やコールセンターに連絡すれば丁寧に教えてもらえるので、新しく保険に加入した際に聞いておくといいでしょう。

家族が何の保険に入っているか把握しておく

自分に万が一のことが起こった場合でも、家族に保険金・給付金の請求をしてもらえるようにするには、事前に「自分はこういう保険に入っているから、何かあったらよろしくね」と伝えておくのが一番です。

より具体的には

  • 保険証書を保管している場所を教えておく
  • 万が一のことが起きた場合用に連絡先リストを作り、そこに保険会社名および担当者(コールセンター)の連絡先も加えておく

など「何かあったとしても、見ればわかる」状況を作っておきましょう。もちろん、これは家族全員で取り組むべきことです。

クレジットカードの付帯保険の内容も理解しておく

自分が使っているクレジットカードにどんな保険が付帯しているのかは、クレジットカード会社に問い合わせれば教えてもらえます。具体的な対応はクレジットカード会社や種類によっても異なりますが

  • 付帯保険に関するリーフレットを郵送してくれる
  • 付帯保険に関する説明が掲載されているWebページのURLを教えてくれる

などが考えられます。一度目を通し「何があったらいくら受け取れるのか」を把握しましょう。家族にも「もし何かあったら、クレジットカード会社のコールセンターにも連絡しておいてね」と伝えておくとなお良いはずです。

万が一、自分や家族の保険の請求忘れが発覚したら?

決して珍しいことではない

「保険金の請求忘れるなんて、そんなうっかりしている人いるの?」と思うかもしれませんが、意外に多いという点にも触れておきましょう。

一般社団法人生命保険協会の統計によれば、生命保険各社で、2018年度に保険金等の支払を行った事案に関し、支払漏れ・請求案内漏れなどが判明し、2018年度に追加的な支払を行った事案は

  • 支払漏れ:1,028件(うち、内部発見811件・外部発見217件)
  • 請求案内漏れ:2,114件(うち、内部発見618件・外部発見1,496件)

とのことでした。

出典:2016・2017・2018年度に、支払漏れ等が判明し、追加でお支払した保険金等の実績 | 生命保険各社の苦情受付情報・保険金等お支払情報について | 会員会社の情報 | 生命保険協会

なお、支払漏れ・請求案内漏れの意味は以下の通りです。

支払漏れ保険金・給付金の請求時に提出された診断書等に記載された内容から、支払対象と判断することが可能であった事案
請求案内漏れ保険金・給付金の請求時に提出された診断書等に記載された内容から、請求を受けた保険金・給付金以外にも支払える可能性がある保険金・給付金があったにも関わらず、通常の検証作業(原則として当初の支払から1ヶ月以内)で把握されず個別の請求案内が行われなかった事案

また、内部発見とは「保険会社側が気づいて契約者に連絡したもの」、外部発見とは「契約者やその家族が気づいて保険会社に連絡したもの」と考えるとわかりやすいでしょう。

つまり、保険金・給付金を請求し忘れるのは何も珍しくない上に、保険会社側も気づけないことだってあるということです。

法律上は3年以内の請求が基本

なお、法律では「保険金は保険事故が起こってから3年以内に請求しないと、時効を迎えて請求する権利が消滅する」と定められています。

保険法

第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

ただし、これは「3年経ったら自動的に権利が消滅する」と言っているわけではありあせん。

時効の援用とは

時効は、時効の援用を行わないと成立しません。そして、時効の援用とは

時効の完成によって利益を受ける者が、時効の完成を主張すること

です。つまり、保険会社の方から「保険事故が起きて3年以上経っているから、時効が成立しているので保険金・給付金はお支払いできません」と伝えられたらアウト、と考えるとわかりやすいでしょう。

まずは保険会社に連絡を

なお、実際のところは、仮に保険事故(例:家族に万が一のことがあったなど)が発生してから3年以上経っていたとしても、自殺や保険金詐欺の疑いがある場合などを除き、柔軟に対応してくれることが多いです。

「もう3年以上前のことだしな」と諦めるのではなく、まずは保険会社のコールセンターに連絡し、事情を話してみると良いでしょう。
FP 荒井 美亜FP 荒井 美亜

大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級、貸金業務取扱主任者試験合格

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